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ELEKIT ELEKIT
インタビュー

25th ANNIVERSARY
SPECIAL INTERVIEW

インタビュー

工作の時間には、
ものづくりをしながら何か学ぶという貴重な体験がつまっています。

嘉穂無線ホールディングス 代表取締役社長

柳瀬 隆志さま

Yanase Takashi

PROFILE

1976年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、2000年三井物産にて食品輸入業務を行う。
2008年より、「嘉穂無線 (現・グッデイ)」入社。営業本部長・副社長を経て、2016年より現職となる。
ホームセンター「グッデイ」、工作キットの「イーケイジャパン」、次代のデータ活用事業「カホエンタープライズ」を統括。

柳瀬 隆志さま

― 柳瀬社長は、「イーケイジャパン」の代表を務めていらっしゃった時期もありましたが、これまでを振り返ってみていかがでしょうか?

当グループは創業から今に至るまで、本当に数多くの転換期がありました。ホールディングス化する前の3社は、それぞれ事業部だったところからのスタートですし、「イーケイジャパン」に関しては別会社として独立していた時期もあります。2014年に嘉穂無線ホールディングスが100%子会社化したのですが、78年ころのエレホビー事業部のことを考えると感慨深いものがあります。

※現在はイーケイジャパン代表取締役会長

― 当時からずっと趣味としての電子工作を提案していますが、時代の変化とともに何か変わったことはありますか?

昔はラジオを小学生が自作することもあったそうですが、今は様々なものづくり業界がデジタル化に対応し、なかなか自分でラジオなどを自作する機会はなくなってしまいました。エレホビー事業部のころに誕生したハンダ付け工作キットは、今はあまり一般の人達が楽しむようなものではなくなりましたが、海外の発展途上国では、コンピューターや家電の基板工場で働く作業員が電子回路の基本やハンダ付けを学ぶためエレキットを使うことなどもあるようです。

― 確かに、今は“ハンダ付け”という言葉をあまり聞かなくなったように思います。

エレキットも昔は、ハンダ付け工作キットが多かったですが、ハンダゴテで火傷する危険性を不安視する声も多かったため、今はソーラー工作キットが定番です。ソーラー工作キットは、前・井口社長の時に誕生したもので夏工作という新しい分野を開拓したエレキットを語る上で欠かせない商品です。この商品をきっかけに、「イーケイジャパン」がマニアックな趣味の世界から、全ての子供が楽しめる学習工作キットの世界に参入することができました。
とくに、私が「イーケイジャパン」の代表となった2011年は、3月に東日本大震災があり、大変痛ましい事故が起きました。そのことで原子力発電が問題視されたことから、自然エネルギーの太陽光が注目され、ソーラー工作キットが話題となったんです。当時、百貨店で販売担当だったスタッフが現在当社で働いているのですが、商品力を実感した出来事だったとよく話してくれます。

コメント

ソーラー工作キットの人気商品「ミニソーラーメタルカー」。組み立てが簡単、太陽電池で作り出したエネルギーで動くエコなクルマ。

コメント

昨年の夏工作ワークショップで作られたコインを入れるとメッセージをしゃべるちょきん箱。ボディは牛乳パックやペットボトルなど身近なものを有効活用。

― 工作キットのメーカーとして、ずっと大切にしていることと言えば何でしょう。

趣味向けのものを提案してきた会社ですから、“楽しい”の連鎖反応を仕掛けていくことですね。定期的に話題性を持った新商品を打ち出し、ブームを巻き起こしていくことが大事だと思っています。そのためにも、今マーケティングやプロモーションの戦略に力を入れていますね。とくに今は、プロモーションのひとつとしてプログラミングやプロダクトのワークショップに力を入れています。

― 柳瀬社長も、子供のころはエレキットでよく遊んでいましたか?

(「嘉穂無線ホールディングス」の会長である)私の父は新商品のサンプルを時々持って帰って来てくれていました。弟とよく一緒に作っていた記憶があります。今、電子顕微鏡の開発職をしている弟は、理系タイプで小学校の早い段階から興味を持っていました。私は回路図を読めず、説明書だけでは分からない点もあって難しかったですね。

― エレキットの中には子ども向けとは思えないようなものもありますよね。

2011年、代表職に就任した際、あらためてやってみようと思い、色々な工作キットを作ってみましたが、やはり大人でも楽しめました。ハンダ付けは、小さいころやって以来でしたが覚えていましたね。

― 体が覚えていたということですね。

自転車と同じような感じですね。小さいころ乗れたら、きっと時間が経ってもまた乗ることができる。ただ考えるだけではなく、体を動かした方が印象に残りやすいのかなと思います。工作の時間は1時間くらいですが、不思議とよく覚えています。だから今は、そのような貴重な体験をしてもらえるよう様々な場所でワークショップを行ったり、「イーケイジャパン」本社の隣で参加型の工房・ファブラボ太宰府を運営したりしています。

コメント
コメント

― 今は、子供向けワークショップイベント『ワークショップコレクションin福岡』もやっていますね。

イベント運営は「グッデイ」になりますが、子供向けワークショップの合同博覧会『ワークショップコレクション』を見に行くようになったきっかけは、エレキットなんです。エレキットは『ワークショップコレクション』の立ち上げ期から出展していて、主催団体のCANVASさんとは繋がりがありました。
私は2014年、第10回目となる『ワークショップコレクション』を見に行き、CANVAS理事長の石戸奈々子さんと話をするようになり、その福岡版をやらせてもらえるようになりました。昨年のイベントでは九州大学の伊都キャンパスが子供たちでいっぱいになって、その光景はとても感動しましたね。これからも、ものづくりをしながら何か学ぶという時間を大事にしていきたいと思っています。

― 最後に、今後の「イーケイジャパン」の展開について教えてください。

ものづくりをはじめ、ずっとやってきたプログラミングに触れるということは、今後もっと世の中のニーズとして増えていくことだと思います。これまで培った見識を活用し、分かりやすく楽しく教えられるようなものを生み出していきたいです。

嘉穂無線ホールディングス 代表取締役社長

柳瀬 隆志さま