梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その72|異人も通った石垣大尽の屋敷「絹の道資料館」

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

異人も通った石垣大尽の屋敷「絹の道資料館」

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鑓水峠を下ると御殿峠からの道と出会う三叉路に出る。いくつかの石塔があり、ここが当時からの交通の要衝だったことが分かる。ここからは、道は舗装されている。

石塔の中の左手後ろの方に、「道路改修記念」と書かれた碑がある。昭和59(1984)年に、御殿峠に通じる道を補修した改修工事の完成を記念して建てたもので、ここから下の道はこの時の改修工事で舗装された。

絹の道を御殿橋の方に5分ほど下っていくと、左手に「絹の道資料館」がある。鑓水の代表的な生糸商人の一人で石垣大尽と称された八木下要右衛門の屋敷の跡地である。石垣の石は相模川から馬の背に乗せて運んだと言われる。

八木下要右衛門の屋敷は、異国人がしばしば訪れたために「異人館」と呼ばれた入り母屋風の屋根をもつ家で、記念館はその母屋を復元するように作られたものだ。豪壮な建物だったことが想像される。

中に入ってみよう。ここには、絹の道や鑓水商人の活躍の跡、さらには当時の養蚕の様子などの資料が、パネルなどで展示されている。

馬の背に乗せて荷駄を積んだ鞍も展示されている。この鞍の左右に、1個9貫(33.75kg)の生糸を4個(135kg)積んで山道を運んだ。見学は無料なので、ここでざっと絹の道について勉強させていただこう。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!